冒険とは何か?ースヴェン・ヘディンの旅をめぐって

スウェーデンの偉大な冒険家の一人で桜蘭の発見やシルクロード探検で有名なスヴェン・ヘディン(Sven Hedin, 1865~1952)の研究家と知られ、これまでに集めた文献、素猫、地図、出版物切り抜き、記録、等を合わせると、約1万点を保有するドイツ人 Manfred Kleinert 氏にスヴェン・ヘディンについてお聞きした。

(Manfred Kleinert 氏と、氏の Bibliothek Hediniana) 

どうして、あなたは、スヴェンヘディンに魅了されていったのでしょうか?

5歳のときに、父が持っていたヘディンの素描画集に偶然出会ったことがきっかけでした。その時は、彼の偉業や探検のことは、何も知りませんでした。たまたま、父の本棚から取り出した一冊の本、そこに鉛筆で描かれていた、チベットやウイグル人、彼らの生活する街や建物の画にとても感動しました。感動のあまり、その画集を自分の部屋に持ち帰って、しばらく大切に持っていたのを覚えています。それから、今日まで、彼の本や地図を少しづつ集めるようになりました。

Sven Hedin som tecknare
Bilden kommer från Sven Hedinstiftelsens bildsamling på Etnografiska museet, Stockholm.

©︎Sven Hedin Foundation

©︎Sven Hedin Foundation©︎Sven Hedin Foundation

©︎Sven Hedin Foundation

20世紀最大の探検家とよばれる一方、スウェーデン国内では、ナチスの信奉者と呼ばれたり、国外では、略奪者と罵られたり、彼の評判は、必ずしもよいわけではありません。どうしてなのでしょうか?また、そのことについて、どう思われますか?

ヘディンは、ナチではありませんし、彼が党員になったという事実も、一切ありません。今で言うと、当時、彼は、マイケルジャクソンくらい世界的に有名な存在でした。その知名度をナチスやいろんな人が利用しようとしたのは、事実です。また、彼は、探検の前に、毎回、中国政府と細かい契約を交わし彼らの許可も得ていたので、発見したものを盗んだり、勝手に自国に持っていったなんてことは一切ありませんでした。時間が経てば、好き勝手なことを言ったり、根拠もないことを言って目立とうとするものが、必ずでてくるものです。彼は、まぎれまなく、偉大な探検家だったと思います。

©︎Sven Hedin Foundation

©︎Sven Hedin Foundation

彼にとって、探検とはなんだったんでしょうか?

私は、ヘディンではないので、彼の言葉として、探検を語るのは無理です。それと、インターネットやスマホで、瞬時に自分の場所を見つけ、地図を操作し、飛行機や車で、目的地に到達できてしまう現代において、探検の意味も、まったく違うと思います。もう、今、この地上に、彼が発見したような未知の場所は、もう残っていないんじゃないでしょうか?あるとすれば、それは、月ぐらいじゃないですか。けれど、一つ言えることは、彼の成し遂げた偉業の数々は、彼の仕事に対する信念と情熱、そして、目の前のことを一つ一つ忍耐を持って、やり遂げた先にあったものだと確信しています。

ロブノールに再び、水は、戻ってくると思いますか?

それは、わかりません。たぶん、戻ってこないでしょう。

(Manfred Kleinert 氏の Bibliotheca Hediniana)

参考図書

バルト海は見ていた―日本・スウェーデン交流のルーツと今 単行本 – 2008/11

土肥孝子 (著)

 

文/奥畑知佳

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