「子供と一緒にいたいと思うから一緒にいるんです。みじかな存在でいたいんです。」PAPPAインタビュー#3 ヨアキム(42歳  エンジニア)スウェーデン

子供は、何人いますか?

2人です。

何歳ですか?

1歳と5歳です。

父親になってみて一番変わったことは、何ですか?

四六時中、他の人を気にして自分のことはすっかり忘れてしまったり、後回しになってしまうことでしょうか

一人になりたいときもあるんじゃないですか?

一人になりたいとかいうことではなく、自分の優先順位が、一番最後になってしまったようなことです。

あなたは、子供にとってどんな父親でいたいですか?どう思われたいですか?

難しい質問ですね。やはり、子供にとって理想の人物、お手本になるような、子供がいつも必要としてくれるような父、なんでも相談できる父でありたいと思います。

子供さんとは、よくお話しますか?

話しているほうだと思いますし、そうしようと努力しています。

具体的にどういう努力をしているんですか?

インタラクション(相互作用)、つまり、子供達が話したいことを引き出してあげるようにしています。

子供と一緒にいると、疲れませんか?

ほんとに疲れます。

理想の父親像は、持っていますか?

理想的な人間を言葉で表現するのは、とても難しいですね。僕も、そこがはっきりしないので、悩んでいます。自分の場合は、あるがままの自分を大切にしたいと思っています。難しいですが、そういう自分を探りながら、そこに近づいていく努力をしていきたいです。

父親として、未熟だと思うことはありますか?

未熟というか、完璧になるなんてことは、決してないと思っています。

自分が思っている父親の仕事は他にありますか?

子供が将来、自分の道を見つけてあげるための過程を、支えてあげられるような父親でありたいと思っています

それは、お母さんでもできることですか

ほんとは、父親と母親の違いはたいしてないと思っています。父母という前に、それぞれの親が、人間として、異なったものの見方や違いはあるかもしれないけれど、願いや行動は、同じだと思う。

母親は、子供を産んだり生物学的にも、父親と違うところは、あると思いますが、そのへんは、意識したりしないんですか?

母親が子供との間に持っている自然の絆が父親にないぶん、私は、余計、意識的に、子供の側にいてあげて、色々な面で、子供たちと絆を作り、彼らを支えてあげたいと思っています。

奥さんとしつけや教育に関して、意見の食い違いは、ありますか?

もちろん。もう、毎日。四六時中ですよ。

具体的にどんなことですか?

母親は、日本の母を持っているせいか、衛生面で、とても神経質なところがありますが、私は、スウェーデンの人間なので、子供が道で何かを拾って口にしても、あんまり気にしません。

けんかになったりしますか?

そんなことで、けんかはしないけど、意見の食い違い、例えば、子供の躾に関して、妻と意見が食い違うときは、具体的な方法など、徹底的に話し合うようにします。

どちらが甘やかしますか?

ママのほうが甘いと思います。

自分の父親は、好きですか?

はい、好きです。

よく会ったりしますか?

会えません。お父さんは、ゴッドランドという遠い場所に住んでいてなかなか会えません。

電話は、したりしますか?

毎週します。

母親と父親では、どちらのほうが話すほうが多いですか?

お父さんです。

お父さんと話すとき、緊張したりしないんですか?

しませんよ。

どんなお父さんだったんですか?

走り回ったり、いたずらしたり、けんか相手になったり、面白い父でした。

お父さんは、どんな仕事をしていたんですか?

電気関係の仕事です。

よく遊びましたか?

遊んだというより、自分も電気が好きだったので、一緒にいることで、いろんなことを学びました。

何歳くらいのときですか?

13、4歳くらいのときには、お父さんと遊ぶより、他の友達と一緒にいるほうが楽しくなってきたから、きっとその前くらいまでだったと思います。

お父さんと一番の思い出ありますか?

いっぱいありすぎます。

悪い思い出は?

やはり、一緒にやるって言っていたことを守れなかったこと。例えば、何時に帰ると約束したのに、その時間に帰れず、僕は、走って帰っていく途中で、お父さんが迎えに来たこと。

怒られたりしましたか?

はい。

たたかれたことは?

あります。

あなたは、子供をしつけるときに、たたいたりしますか?

いいえ。

なぜですか?

それは、必要なことだとは思えません。時々、感情的にもなりますが、そこは、我慢します。

あなたのお父さんは、今のあなたの父親像に影響していると思いますか?

あると思います。パパは、いつも、みじかにいてくれました。

だから、あなたも?

そうです。

僕の父も一緒にいたかったかもしれないけれど、忙しくていれなかった。そういう父親は、どう思いますか?

それは、不思議というか、奇妙な気がします。自分の子供がいながら、その子供のことがわかっていないのですから。

どうして、父親が必要なんですか?母親だけで足りませんか?

それは、自分が一緒にいたいからそう思うのだけど。一般的に言っても、子供には、大抵、母親と父親がいて、その二人がいくら性格的に似通っていたとしても、価値観は違っているわけで、その違いが、子供が成長していくなかで大切だと思う。

子供と一緒にいるのは、あなたのお父さんの影響が大きいですか?

そうかもしれないけれど、やはり自分がそうしたい、子供と一緒にいたいと思うから一緒にいるんです。みじかな存在でいたいんです。

でも、いつかぶつかることもあるので?

絶対そういう日が、来ると思います。思春期は、避けて通れないですしね。

娘さんとはどういう話をするんですか?

上の子とは、よく話します。今は、よく質問されるので、それに答えています。

最近、難しくて、答えに困った質問は、ありましたか?

今、思いつかないけど、わからなかったら、わからないと正直に答えています。わからないことは、一緒に、答えを見つければよいと思っています。

父親としての威厳とか、あるいは、対等でいようとかそういうことを考えたりしますか?

あまり考えません。対等ということは、ないと思います。娘は、きっと、私を見上げて、なんでもできるパパだと思っています。

なんでも、できるパパになりたいですか?

もちろん。笑

ときには、厳しく接することもありますか。

ありますよ。父として、子供にある程度、ダメなものはダメだということを示す境界線を引かないといけないと思っています。

具体的に、どういう境界線をひくんですか?

例えば、ゲーム。今日は、何時間まで。あるいは、寝る時間、この時間になったら、もう寝なきゃいけませんと私が、しっかりと言ってあげなければなりません。

 

家族と仕事のバランスは、どう考えていますか?

昔は、それがとても大きな問題で、スウェーデンで人生をジクソーパズルに置き換えて考えることがあるのだけれど、家族や仕事、どれかピースがかけていたら、それは、やはり完成しないものなのです。

スウェーデン社会が変わっていったということですか?

自分のキャリア、家族、余暇、この三つの欲求をどうやり繰りしていくか。時代とともに、それらの形は、もちろん変化していくものですよね。男と女が対等になったとき、新たにアイデンテティーの問題がでてきます。70年代に、父親たちが、家で、子供の面倒を見るようになったとき、男は、第2の母になればよいのかという話は、あったらしいけれど、40年経った今、そういうことは、誰も、もう考えていない。

あなたにとって家族とは、どんなパズルのどんなピースですか?

家族と仕事、その二つは、大きな部分を占めていて、あと、少しの部分に自分の時間、あるいは、余暇があると思っています。

家族が仕事の犠牲になることはないですか?

たえず、そういうことは起こると思っています。でも、スウェーデンの場合は、家族に何か起こると、仕事を抜け出せたりできる環境があります。例えば、今月13日は聖ルシア祭で、幼稚園で娘が歌うので、3時の開演に間に合うように、2時に、早退させてほしいといえば、上司は、もちろんと言って、受理してくれます。そういう点は、とてもやりやすいですね。

そういうことをすると、日本では仕事をおろそかにしているとか、責任感がないと言われたり、自分自身もそう思ってしまうんですが、そういうことはありませんか?

そこが、社会の違いであり、とても、大きな違いではないでしょうか。例えば、私は、二人の娘の世話をするため、5ヶ月の育児休暇をとりました。その点は、日本とだいぶ違うのではないでしょうか

日本も、そういうことができる社会になれると思いますか?

日本だって、できると思います。組織として、ある役目をもっている人がいて、その人は、不可欠な存在だと思っているかもしれないけれど、事故や病気でその人がいなくても会社は、機能するようにできていなければならない。組織は、もっと、フレキシブル、流動的でないといけないんです。

でも、そんなことしたら、会社の業績は下がっちゃいませんか?

もちろん、それを支える公的支援は、不可欠です。さっき、育児休暇の話をしたけど、その時の給与は、会社が払っているのはなく、国が払っているから、会社もそういうことが許されるのだと思います。

スウェーデン社会は、子供を育てる環境は、昔より良くなっていると思いますか?

そう思います。面白いのは、例えば、フランスで、スウェーデンと同じようなことをしようとすると、無理だと言われることもあるけれど、スウェーデンでは、それがしっかりと機能しています。

どうしてスウェーデンはできるんですか?

それはわからないけど、きっと、スウェーデン人は、そうしようと決めたことを、みんなで実行しようとする。問題点があれば、何かを一つづつ解決していこうとする。

日本でも働いたことがあるそうですが、日本の父たちを観てどう思いましたか?

長い目で観ると、日本の父親像、彼らの生活スタイルは、持続可能な方法(サステナブル)ではないと思います。留学して、インターンを通して、日本の社会を見る機会がありましたが、彼らは、頑張れば、頑張るほど、仕事が増えて、そこから抜けられなくなっているのではないかと思っていました。

どうしたら、日本は、変われますか?

もう少し若い世代がでてきて、仕事ばかりが人生じゃないよということを言い出すようになることではないでしょうか。

 最後になりましたが、父親として、子供に対して、なにか希望はありますか?

 彼女たちが、どういう大人になるかは、わかりません。ただ、父親として、彼女たちには、自分らしさを持って、自分が自分であることに安心し、世界のどこかに、住みたい場所を見つけて、そこで暮らしていけるようになってほしいと願っています。

 

ありがとうございました!

 

(インタビュー/奥畑 知佳)

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