お父さんのための北欧絵本③ー『キュッパのはくぶつかん』ノルウェー

『キュッパのはくぶつかん』オーシル・カンスタ・ヨンセン 作 ひだにれいこ 訳  福音館書店

 

 

 

【あらすじ】

「キュッパは丸太の男の子です」そんな風変わりな文章ではじまるこの絵本。「主人公が丸太!?」という驚きの声が日本の読者からは上がりましたが、ノルウェーの人達にとっては、それほど驚くべき設定ではないでしょう。なぜなら1920年生まれの国民的作家アンネ・カット・ヴェストリーが発表した人型の松の根が登場する『クナッテン』シリーズは、ノルウェーの子ども達に長年、親しまれてきたからです。キュッパは森で色々なものを集めてくるのが大好き。でもたくさん集めすぎて、部屋がいっぱいになってしまいました。そこでキュッパは、集めたものを分類し、ラベルを貼って、展示し、博物館を開くことにしました。そして博物館に来れなかった人も後で見れるように、図録も作ります。展示し終わったものは森の元あった場所に戻したり、リサイクルに出したりしました。

 

【翻訳者からお父さんたちへ】

木育は日本でもノルウェーでも盛んなようです。『キュッパのはくぶつかん』の原書では、すぐに曲がるものの代表例としてテントを地面に留めるペグが出てきます。作者のオーシルさんが学校訪問や図書館イベントなどで読み聞かせをした際、特にこの部分が一番笑いが起きたそうです。子どもが皆、ペグを知っているぐらい、ノルウェーではキャンプが盛んなのですね。日本でも近年、キャンプ・ブームは続いています。ノルウェーと日本はこんな意外な共通点があるのです。愛らしいキュッパの絵本をお子さんと読んだら、さあ、森に出かけて、葉っぱや石や木の枝などを集めてみましょう。親子でそれらを並べて、クリエイティビティを発揮し芸術作品を作ってみませんか?

 

2015718日~10月4日まで東京都美術館で、『キュッパのびじゅつかん―みつめて、あつめて、しらべて、ならべて』という展示も行われました。

日比谷公園、みどりの感謝祭でもプレ・ワークショップ『キュッパになろう!』が開催されました。

【公式ホームページ】

◆PC版 : http://kubbe.jp/
◆スマートフォン:http://kubbe.jp/mobile/top.html
◆facebook: https://www.facebook.com/KUBBE.jp

※ 注:KUBBE(キュッパ)のキャラクター・ビジネス、プロモーションをしているのは、トムス・エンタテインメントさんです。アニメやグッズ、イベント開催などに訳者も本サイトも関わっていません。事業にご関心がある方は、トムス・エンタテインメントにお問い合わせください)

FAOの資料(世界森林資源評価2010(FRA2010))より

 

日本は実は先進国の中で森林率の高さでは上の順位につけています。キュッパの祖国であるノルウェーも、自然豊かで、木は欠かせない暮らしの一部です。

(上写真:冬のノルウェー。山が多いノルウェーでは、スキーなども盛んです。自然と親しむのがノルウェー流なのだそうです)

枇谷玲子 (北欧語翻訳者)

1980年、富山県生まれ。2003年、デンマーク教育大学児童文学センターに留学。2005年、大阪外国語大学(現大阪大学) 卒業。 在学中の2005年に『ウッラの小さな抵抗』で翻訳者デビュー。北欧家具輸入販売会社勤務、翻訳会社でオンサイトのチェッカーの経験を経て、現在は子育てしながら北欧書籍の紹介を行っている。訳書に2015年東京都美術館で行われた展示『キュッパのびじゅつかん』の元となった絵本『キュッパのはくぶつかん』(福音館書店)、『カンヴァスの向こう側』(評論社)など。埼玉県在住。

 

RECOMMEND